幻想的でエロティックで不条理な小林瑞代３作品。『不思議の国の少年アリス』、『風少女』、『あなたがそばにいてほしい』

小林瑞代『不思議の国の少年アリス』第１巻
「男子高校生の工藤亜利須（くどうありす）は、ある日、通学途中にバスから降りたら、見知らぬ世界へと降り立ってしまっていた。困惑する亜利須だが、そこにウサ耳をつけたバニーボーイが通りかかる。彼の導きによって城へとやってきた亜利須は、そこで女装したことで王子に惚れられてしまい・・・」
新書館--------ウィングスコミックス--------1993年-------520円

懐かしい・・・。小林瑞代氏の傑作「不思議の国の少年アリス」を久々に読んでみましたが、やっぱ面白いですね〜
おもに新書館「WINGS」で描いていた小林瑞代氏ですが、長い間とんと描かなくなってしまいまして、この前エロ漫画雑誌「コミック快楽天」に短編を描いたのが本当に久々の新作だったようです。（この記事書いてるのは20091116です。）

これは、結構精力的に描いていた時代の代表的作品で、少年が不思議の国へ迷い込んで、アリスとしていろいろ大変な目にあう、という話。これの大事なところは、少年が女装してたりしてるはじめの方から、どんどん話は変になっていって、結局女の子の体になってしまうところ。王子の求愛に対して、拒絶してたのに徐々に受け入れるようになり、本当に愛が芽生えていってしまったり、女の子の体ですっかり感じるようになっちゃったりと、なんかもう幻想的なんだか変態的なんだか！　という話です。
これ、女体化ってことですが、この時代にここまで描けた人は少なかったかと思います。




小林瑞代『風少女』
新書館--------ウィングスコミックス--------1994年-------500円

中学生女子の大沢めぐみと、その兄で高校生の洋（よう）の話。めぐみが兄LOVEで突っ走る！
ブラコンものなんですが、出てくる登場人物が変な人ばかり。てか、この作家の作品はキャラがみんな変なテンションで変に突っ走るんですよ！





小林瑞代『あなたがそばにいてほしい』
新書館--------ウィングスコミックス--------1996年-------500円

エロティカとエマニエルという２人の美少女悪魔にだまされて死後の世界へとやってきてしまった少年・一文字くんの、エロいけどやっぱり変な方向に流されていっちゃうお話。
なんていうか、小林瑞代氏の作品って、古典のスペイン幻想文学的な雰囲気が漂ってるん気がします。やけにトランスセクシャルな話だったり、禁断の関係だったり、ホモだったりとか、ありますが、それが妙にこの不条理で変な世界にマッチしてます。ノリもいい。
萩原一至氏のアシスタントだった人で、「BASTARD!!」のあとがき漫画で「たーまよ」として登場してるので知った作家さんでした。とくに絵の上手さが抜群ですね。今もアシしてたりするのでしょうか？　あと同人活動とかは？

作者の本は四冊しかありませんが、この「あなたがそばにいてほしい」が一番新しい単行本になりますね。「不思議の国の少年アリス」は最近、文庫になってます。

　　
「不思議の国の少年アリス　2」「アスカはいぶりっど　1」「魔女の騎士ヘクセン・リッター」
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関連サイト
新書館コミック＆ノヴェル
http://www.shinshokan.com/comic/
小林瑞代　ウィキペディアの記事
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E7%91%9E%E4%BB%A3

この記事もどうぞ。
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