火浦功『ファイナル・セーラー・クエスト ひと夏の経験値』。あわわわわ、どんな経験値稼いじゃうの～、とか思ったら、そんな話じゃなかった

月刊アフタヌーンに掲載された小川雅史氏の短編『髭の戦士』が非常によかったので、何か他にもRPGものでも、と思ってこの前読んだ『ひと夏の経験値』でも紹介します。
とは言っても、この前出た秋口ぎぐる氏の方じゃなく、火浦功氏の方。



火浦功『ファイナル・セーラー・クエスト　ひと夏の経験値』
「永井のりこの通う神宮寺高校は、東京・世田谷に発見されたダンジョンの地下10階にあった。そして、この高校がダンジョン下層にある危険な学校であるにもかかわらず、のりこは極度の方向音痴だったのだ。間抜けで天然、非常な楽天家であるのりこはそれでも気にしないが、それに巻き込まれる同級生の女剣士・姫野真琴や武闘家の緒方修理たちはたまったものではなかったりするのだった・・・」
アスペクト-----ログアウト冒険文庫-----1995年----560円

いや、実は先週古本屋でみつけて買ったのを３日ほど前に読んだのでした。ぎぐる版の『ひと夏の経験値』が話題になってたので、気にはなってたのですよ。でも、見つけたのは火浦版だったというわけ。はじめて読みましたが、非常に楽しめました。テーブルトークRPGやってたし、ドラクエやウィザードリーとかも基本的に好きだったし。

「おれも真琴も、子供の頃から、ずっとこの街で育ったから、今さら、特別にどうってことはないけど、初めての人は、ちょっと気をつけた方がいいかもしれないね。特に、うちの学校は、ダンジョンの地下十階にあって、新入生の犠牲者が多いことで有名だから。-----でも大丈夫。すぐ慣れるよ」
「生きていればね」

そう、そんな学校です。レベル・レーダーが購買部で売ってたり、モンスターを喰ったり、学校裏に石化された生徒の彫像がならんでたり、ジョブが忍者の先生が、防御力を上げるために裸になったり、そして数学や国語のテストには実技がつきものだったり。

「いくら数学の成績が良くても、モンスターとの戦闘に生き残れないような生徒を、卒業生として世の中に送り出すことは、学校の名前に傷をつけるばかりか、生徒本人のためにもならないからである。」

「数学や国語のテストにまで、どうしていちいち実技があるのぉ？」と言うのりこの疑問も当然ですが、実技をクリアできないようでは実生活に問題が出るのであれば仕方がない。
そういう点では困りつつも、のりこは極度の強運ですべてを乗り越えて楽しい学園ライフを満喫します。

「今気付いたけど、永井さんて、運のパラメーターが異常に高いんだね？」
レベルレーダーを通して、のりこを見つめていた修理が、目を丸くして言った。
「もしかして、何か、アイテムを身につけてる？」
「いえ、別に・・・。あ、でも、そー言えば、今朝、家を出る時に、母がこれを」
そう言って、のりこが鞄から取り出したのは、何の変哲もない『成田山の御守り』であった。
「おお、これはっ！」
「で、伝説の」
「成田山のアミュレット！」

成田山の御守り、霊験あらたかだなぁ。
そういや、八房龍之助氏の『宵闇眩燈草紙』の２巻にある「地階の王国」の102ページでも同様に成田山のアミュレットが登場してますね。RPG好きの人には常識なのか？

で、この現実世界に「ダンジョン」が出現するというネタ、なんか最近見た、と思ったら、あれだ。『ドラゴンエイジ』の『迷宮街輪舞曲　晴れた日には剣を持って』だ。

　　

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参照サイト
we love hiura!!
http://www.hiura.org/
林　亮介
http://www.books884.jp/
鹿ヶ里虚霊館
http://hathat.hp.infoseek.co.jp/

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コメント

これの復刻版がこの前出たようですね。
『ファイナルセーラークエスト　完全版』
イラストはスギサキユキル（杉崎ゆきる）氏に変更となっています。
Posted by 管理マミヅク at 2007年06月18日 04: