女の子たちの優しい想いと繊細な恋愛関係を描く倉田嘘の初単行本。『リンケージ(linkage)』

倉田嘘『リンケージ(linkage)』
「仲の良い姉妹・此花由佳（このはなゆか）と吏佳（りか）は、一年前から姉妹以上の関係になっていた。しかし由佳は、ある日からもうこんな関係は良くないと言い出し、妹の吏佳を遠ざけはじめる。そんなことに納得しない吏佳は相変わらず由佳に懐き、バイトで貯めたお金でブローチをプレゼントするのだった。しかし、由佳はそのブローチを砕いてしまい・・・」
一迅社------百合姫コミックス---------2009年------857円

「百合姫S」で活躍中の凄腕新人・倉田嘘氏の初単行本が発売になりました。新人離れした技量の持ち主で、今後も期待できる有望な作家さんですよ。
収録作品は「百合姫S」に掲載された短編で、新人OLとその上司の関係を描く「鎖はもういらない」、音大のヤボったいフルート奏手と派手な同級生の話「キコエルスズノネ」、キツメの外見の女学生と盲目の同級生の関係を描く「プレゼント」、一線を越えた姉妹の揺れる心を描く「欠片」、シリコンバレーで介護用アンドロイドの心を開発をする話「リンケージ」、の五本です。

どの話も二人の女性の間の恋愛関係を繊細かつ丁寧に描く良質な百合話です。すれ違いや齟齬から浮き彫りになる本当の気持ちを、たどたどしくも優しい心のやり取りを経て結実させる、いい話ばかりですよ。私は中でも姉妹ものの「欠片」が好きな話でした。ベタ甘姉妹ってツボなんですよ〜。あと、どの話もページ数のわりにはキャラクターがしっかり立っていて魅力的でしたが、私的にはOLの芳野さんとか、ツーンとした少女・啓子ちゃんとかがよかったです。
そもそも、倉田嘘氏の絵って、私の個人的な好みにバッチリあってるんですよね。いいですわー。女の子可愛いし、それで百合とはたまらんわい。

てか、この作家さんは、ほんとに新人なのですかね。なんというか、これが初単行本にしては上手過ぎます。同人誌とかで描いてたとかじゃ？　コメントとか見るとどっかの会社に所属しつつ漫画描いているようですが、会社側の理解ももらえるということは、漫画かゲームかの業界の関係の仕事とかでしょうかね？
まあ、ともかく（百合漫画業界に）凄い新人さんが登場しました。だいたい「百合姫S」には毎号描いてるようなので、今後もチェックしていきたいと思います。

　　
「百合姫S」「熱帯少女」「純水アドレッセンス」
最新号でも倉田氏は描いてます。今度はシリーズもの。MMORPGがネタになってます。
---------------------------------------------------------

新書「表現する仕事がしたい！」で安野モヨコ語る（コミックナタリー）
表現する仕事がしたい! (岩波ジュニア新書)

オタクをピクっとさせる１０の発言 （痛いニュース）

-2009年６月18日
なんと、小説家・漫画原作者の中里融司氏が亡くなられたそうです。ライトノベルでは、「狂科学ハンターREI」とか「デモンズサモナー」がありましたね。ご冥福を。

獅子堂秋葉と河合ほのかと神凪いつき。宇宙をかける少女（real）

律さまシート（ShiBoo!）

　　
「BUTTERFLY69」「まなつラビリンス」「クイーンズブレイド Hide&Seek」
---------------------------------------------------------
関連サイト
GAREX online
http://garex.at.infoseek.co.jp/
百合姫S
http://www.ichijinsha.co.jp/yurihime_s/

この記事もどうぞ。
男子禁制の世界のくせに男子のハートを鷲掴みするような漫画多し。『百合姫S（ゆりひめエス）』2008年夏号　vol.05
http://mamiduku.blog.shinobi.jp/Entry/328/
黒柾志西氏や文倉十氏まで登場。一迅社『百合姫S（ゆりひめエス）』2007年冬　vol.03
http://mamiduku.blog.shinobi.jp/Entry/35/
素敵な百合や切ない百合もあれば、とんでもない百合もあって大満足の一冊。『つぼみ』vol.2
http://mamiduku.blog.shinobi.jp/Entry/1298/