心や未来が解る不思議な力が彼女を追いつめ苦しめる・・・。伊図透『ミツバチのキス』第１巻

伊図透『ミツバチのキス　kiss me deadly』第１巻
「触れることで人の心などを読むことができる超能力を持つ草野慧（くさのけい）。彼女は新興宗教団体・真救苑にその力を利用され、さまざまなモノを読まさせられることに嫌気がさし、教団を逃げ出す。そんな彼女に目をつけた、政府の諜報機関が今度は自分たちが彼女を利用しようと接触してくる。クセのある腕利きの中年諜報員・駿河は、見事に彼女の心へ近づくが、彼自身、この仕事に疑問を持っていて・・・」
双葉社-----------アクションコミックス-------2009年--------600円

『ＳＴＥＥＬ　ＢＬＵＥ』で漫画アクション新人賞受賞した作家さんの初単行本。この前読んだ、白井弓子氏の『天顕祭』も驚きましたが、この伊図透氏の『ミツバチのキス』もその表現力に驚愕しました。ほ、ほんとに新人さん？　

超能力を持っているがゆえに家族を含めた周りの人々に嫌われることになり、行き場を無くした女・草野慧。そんな彼女を受け入れてくれた新興宗教団体・真救苑は、彼女の人の心や未来や過去といったいろいろなモノが見える不思議な力を「全知の技」として、教団拡大のために利用しています。しかし、この超能力で「見る」ことは、雑多で強烈な人間の想いや辛い過去、悲惨な未来を見ることでもあり、それは慧にとって苦痛極まりないことだったのです。

ついにたまりかねた慧は教団を抜け出し、小さな町工場でひっそりと暮らしはじめます。しかし、彼女の能力に目をつけたのは教団だけではなく、政府が作った統括的な諜報機関も彼女を監視しはじめていました。国家のため、という大義名分のもとになりふり構わない手を使う組織ですが、そこの諜報員のひとり、駿河が彼女の籠絡を計ります。教団に見つかり逃げ出した慧を追い、巧妙な話術で徐々に彼女の信頼を得ていく駿河。しかし、そんな彼にも重い心理的な鬱屈がたまっていて、慧の組織への取り込み策に自分でも割り切れていない様子。そんな２人の想いを無視し、組織側は強引な手段も辞さない動きを見せるのですが・・・

心や過去を読む、という超能力のおかげで、まともに人間として扱われない女と、屈折した想いを抱く中年諜報員のやりとりの繊細かつ絶妙な組み立てが素晴らしい。画力も非常に高く、ストーリー、心理描写、構成力も抜群。とてもじゃないけど新人とは思えません。今後も要チェックの作家さんですね。

夏目房之介氏のブログで、この『ミツバチのキス』を『秘密　トップ・シークレット』（清水玲子）と比較してましたが、私はむしろ『秘密』の方がいまいちに感じました。あっちの方が表現が臭いというか。



そういや、『七瀬ふたたび』がテレビドラマ化されてましたね。去年の10月から。昔、多岐川裕美で一度ドラマかされてたけど、今度は蓮佛美沙子が主演。
これは見てませんでしたけど、漫画版のなら見ました。『NANASE』。作画は山崎さやか（今の山崎紗也夏）氏。こっちは面白かった。

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4月スタートのTVアニメ『アスラクライン』の世界観やキャラクターをチェック!!
アニメ絵が原作イラストに近くていいですね。

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どこらへんの話になるんでしょうかね〜。中途半端なのはやんないでほしいけど。

姫神かわいいよ姫神（azure sky）

伊里賀透
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関連サイト
漫画アクション
http://webaction.jp/
ミツバチのキス
http://webaction.jp/title/103.php
伊図透『ミツバチのキス』①と、さそうあきら『マエストロ』③ （夏目房之介の「で？」）
http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2009/02/post-6888.html

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