心に傷を持つモデルとニートの内面を描く鮮烈なストーリー。岸虎次郎『i.d.（アイディー）』第１巻

岸虎次郎『i.d.（アイディー）』第１巻
「高校でイジメにあい、不登校からそのまま三年間もニートを続ける葵美雪（あおいみゆき）。久々に外に出た彼女がチンピラに絡まれているところを、偶々通りかかった美女・比留川亜紀子（ひるかわあきこ）に救われる。空手の実力者で、売れないモデルでもある亜紀子は、過去の出来事から自分自身を好きになれず、不満を抱えながら生きていた。こうして２人は出会うのだが・・・」
少年画報社----------YKコミックス--------2009年---------533円

『COLORFUL（カラフル）』や『マルスのキス』の岸虎次郎氏の新作です。連載は「月刊ヤングキング」。
モデルだけどカメラの前では快く笑えない欠陥モデルの亜紀子と、イジメからニートになってしまった女・美雪、の２人をメインに語られるストーリー。

辛い生い立ちと悲惨な過去。そのためか強くあろうと空手を習っているらしい亜紀子は、ショボイ仕事をしなければいけないけど仕事のためにはなんでもやろうという気にもならない中途半端な売れないモデルです。彼女の不満は自分が理想とする姿とかけ離れている現状。そもそも自分自身を好きではないという自信の無さが、仕事を上手くいかさせていない負のスパイラルです。
美人で何もかも上手くいっていると思われることさえあるのに、虚偽の自分を装って、強がってるだけみたいにも見える彼女が、不良に絡まれている女性を救うことになります。その相手が、ブログのことからいじめられるようになった気弱な女で、三年も家から出ないで引きこもったまま20歳になってしまった美雪。彼女は自分を救ってくれた亜紀子に魅了されたようなんですが、話の方はまだまだはじまったばかりといったところ。これからのストーリーが気になりますね。
それぞれ心に傷を持つ女性たちの心の様子を描写するとともに、スタイリッシュで素敵な画風がとても上手くマッチした作品です。内容的には思った以上にギスギスとしたもので、酷い目にあったりするところなんかは見てらんないほどゾワゾワします。本当はこういう辛い系の苦手なんですが、やはり話の上手さとか絵の良さとかは抜群なんで、続きも読んでくかと思います。

最近の作品は百合な内容のが多いみたいですが、やはりこれもそういう展開になっていくんでしょうかね？

　　
「Bloody Mary（ブラッディマリー）　1」「カラフル　5」「MAKA-MAKA　vol.1」
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「ラヴ・バズ 1巻」「熱病加速装置」「空色ガールフレンド」
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関連サイト
月刊ヤングキング(月刊YOUNG KING)　少年画報社
http://www.shonengahosha.jp/monthlyyk/detail.php?y=2010&m=01&p=4
集英社　岸虎次郎の漫画の試し読み
http://www.s-manga.net/author/kishi_torajiro.html

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