独特のセンスと空気感を持つ、賞をとった良作短編集。市川春子『虫と歌 市川春子作品集』。あとアフタヌーン2010年9月号では新作「25時のバカンス」が

市川春子『虫と歌　市川春子作品集』
「兄・晃の、今はまだ存在しない虫を作る仕事の手伝いをしている学生の弟・うた。ある夏の夜に現れた、人の形をした虫を傷つけてしまったうただが、それが兄の作った虫だと知る。そして、その人型の虫・シロウとともに暮らすことになり・・・」
講談社-----------アフタヌーンKC--------2009年---------571円

この単行本で第14回手塚治虫文化賞新生賞受賞した市川春子氏の初単行本です。
この短編集の収録作品は、「星の恋人」「ヴァイオライト」「日下兄妹」「虫の歌」「ひみつ」。
この中の「虫の歌」で月刊アフタヌーン四季賞2006年夏の大賞を受賞してデビューした作家さんです。

「星の恋人」は、久々に会った叔父には娘がいて、実はそれが自分の・・・だったという話。
「ヴァイオライト」は、飛行機事故で助かった生徒２人。彼らは現場から彷徨いはじめ・・・。
「日下兄妹」は、有望な高校野球部員が肩を故障してしまうが、家の中で不思議なものが成長しはじめる。
「虫の歌」は、紹介文で書いた作品。
「ひみつ」は、描き下ろしの2ページ漫画。

どの作品も落ち着いた淡々とした調子で寂寥感にも似た雰囲気を漂わせつつ、残酷な事実を描き出します。人物描写が秀逸で、話も良くできてる。やわらかな読み心地と奇想奇妙な物語、そして深く悲しくも優しい物語が一体となって、読ませる作品になってます。確かに、これは評価されるべき作品ですね。

この「虫と歌」、発売当時、みんな連載で読んでたので、買ってなかったのですが、今回また読みたくなって買いました。



『月刊アフタヌーン』2010年9月号
表紙・新連載・園田健一「ブレッド・ザ・ウィザード」
市川春子「25時のバカンス」前編
幸村誠「ヴィンランド・サガ」
藤慈朗＆誉田哲也「武士道シックスティーン」
瀧波ユカリ『臨死！江古田ちゃん』
藤島康介『ああっ女神さまっ』
ひぐちアサ『おおきく振りかぶって』
柏原麻実『宙のまにまに』
北道正幸「プ～ねこ」
小川悦司＆竹内一郎「アストライアの天秤」
とよ田みのる「友達100人できるかな」
弐瓶勉「シドニアの騎士」
植芝理一『謎の彼女X』
ハグキ「ハトのおよめさん」
垣野内成美＆田中芳樹「薬師寺涼子の怪奇事件簿」
木村紺『からん（karan）』
カラスヤサトシ『アフタ寺問答　超拡大版』
篠房六郎『百舌谷さん逆上する』
秋山はる『オクターヴ』
沙村広明『無限の住人』
中島守男『吉田家のちすじ』
樹なつみ『ヴァムピール』
冬目景「ACONY（アコニー）」
田中ユキ「いもうとデイズ」
駒井悠『駒っ旅』
くぼたまこと「ファンシーGUYきゃとらん」
野村亮馬「ベントラーベントラー」
そにしけんじ『ザリガニ課長』
田丸浩史『ラブやん』
西本英雄『元祖ユルヴァちゃん』
猪熊しのぶ「雪月記」
漆原友紀「水域」
鈴本テツヤ「おかわりっ！めがみさまっ！！」
岡田芽武「SHADOW SKILL」
ヤマシタトモコ「BUTTER!!!」
庄司創「パンサラッサ連れ行く」
清家雪子＆新海誠「秒速5センチメートル」
稲見独楽「弾丸ティアドロップ」
宮川輝「018」
和田依子「少年式少女」
錦ソクラ「侍父」
講談社-----2010年------680円

というわけで、市川春子氏の新作で海洋SFものの「25時のバカンス」前編を読んで、「虫と歌」を読みたくなったわけです。この「25時のバカンス」も非常に良いですなー。

「ガンスミ」の園田健一氏がガンアクションと魔法ものを合わせた作品を新連載。「ブレット・ザ・ウィザード」。魔法の銃を持つ人間たちのガンアクションがカッコ良く描かれていますよ。これも楽しみ。
宮川輝氏の「018」がいいですね。この人凄い期待してます。
篠房六郎氏の『百舌谷さん逆上する』はますます酷く、かつ面白くなってきてます。いや、ほんと酷いな！　いいぞもっとやれ。

そんな感じで、次号の「25時のバカンス」後編も楽しみですね〜

　　
「テルマエ・ロマエ I」「星が原あおまんじゅうの森 1」「黄色い本」
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そういや「シュタインズゲート」がアニメ化決定とかいう話。そうか、ゲームからが良かったけど、アニメになるならそっちからかな。

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関連サイト
アフタヌーン
http://www.e-1day.jp/afternoon/magazine/
アフタヌーン新書
http://kc.kodansha.co.jp/magazine/news_detail.php/13871/709/1
文化庁メディア芸術プラザ
http://plaza.bunka.go.jp/

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