90年代オタク文化ネタが満載。読むとついついオタクとしての自分史を語りたくなる。甘詰留太『いちきゅーきゅーぺけ』第１巻

甘詰留太『いちきゅーきゅーぺけ』第１巻
「1994年。長野の片田舎の狭い世界でずっと生きてきた中井純平は、エロ漫画に魅せられ、エロい妄想を密かにノートに描き散らす日々を過ごしていた。そして、東京のW大学に合格し上京した純平は、エロ漫画が好きだという褐色美人の大学の先輩と知り合うのだが・・・」
白泉社-----------ジェッツコミックス-------------2015年-----------600円

甘詰留太氏が「ヤングアニマル嵐」で連載中の新作、90年代オタク漫画の第１巻が発売になりました。「ナナとカオル」も連載しているのに、平行して凄いのが出てきましたね〜。ちなみに「ナナとカオル」の15巻も同時発売でした。
いちきゅーきゅーぺけ 1（DMM）
ナナとカオル STEP UP ‘SM’ LOVE COMEDY 15（DMM）

オタクとしての情報が限られていた90年代の田舎で暮らしていた主人公が、上京して大学のオタクサークルに入ってオタクとしての世界を広げ、さらには子どもの頃から魅了されていたエロマンガを自分で描くことになっていきます。作者の甘詰留太氏の半自伝的要素を含む物語で、オタク文化史的にも激動の時代といえる90年代の世界を舞台に、少年がエロマンガを主軸にオタクとして開花・成長していく青春ストーリーといった感じのお話です。作中でエロマンガ家さんの名前とかバンバン出ますし、当時のことについての薀蓄がたくさん出てきます。
地域的な条件から狭い知識しか持ってなかった主人公が、新しい環境や知識に戸惑いつつも、上京してから広がる世界に感動し、希望と現実に苦悩するその姿を、痛々しくも鮮やかに描く作者の力量はほんと見事としかいいようがない。

あと、小太りメガネで内向きな性格のオタクという主人公に対し、ヒロインの桜町・クリス・真綾が褐色肌で銀髪メガネの美人ハーフでエロマンガ好きという夢の様なキャラなんですが、そのエロス溢れる容姿ともども、あとあとエロエロで厄介なことになる予感がビシバシしてて、期待が高まります。もうひとり、キュートな外見だけど熱血系大好きのオレっ娘もいて今後が楽しみです。

そしてなんといってもストーリーの中に、90年代のオタクネタ、しかもエロマンガネタを大量に絡ませてくれてて、たいへん懐かしい気持ちで読めるというのもいいですね。自分にとってもオタク黎明期だった時代でもありますし、これを読むとついついオタクとしての自分史を語りたくなりますwww

あと、各話ごとの間に「インタビューコラム「199X年に何してました？」（取材・前田久氏）があって、陽気婢、山本直樹、ぢたま某、桃井はるこ、門井亜矢、井ノ本リカ子＆BENNY'S、ももせたまみ、など、当時活躍していた錚々たる作家さんたちが当時のことを語っていて、これがまた面白いです。

コミックナタリーには甘詰留太氏と山本直樹氏との対談が掲載されています。
甘詰留太、憧れの山本直樹と1990年代を語り合う
http://natalie.mu/comic/pp/199x

　　　
「ナナとカオル 15 」「BLUE・ブルー」「ナナとカオルぴんくぴゅあ 」「小鉄の大冒険　セット」
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関連サイト
エロ新聞電脳版　甘詰留太公式
http://www33.ocn.ne.jp/~nichieto/enter.html
ヤングアニマル嵐
http://www.younganimal.com/yokoku/arasi/now.html
ヤングアニマルweb ｜ 白泉社
http://www.younganimal.com/
ナナとカオル@nanatokaoru
http://twitter.com/nanatokaoru/
AIC
http://www.anime-int.com/index.html
『ナナとカオル』甘詰留太｜白泉社
http://www.younganimal.com/nanatokaoru/
いちきゅーきゅーぺけ１巻 「1994年大学マンガサークルが舞台の青春おたく物語！」（アキバblog）
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51485918.html
甘詰留太が1994年のオタクの青春を描く「いちきゅーきゅーぺけ」（にゅーあきばどっとこむ）
http://www.new-akiba.com/news/142144

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